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増加する過重労働に関する労災請求

note
過重労働に関する脳・心臓疾患、精神疾患における労災請求は、昨今増加の一途をたどっています。

<2016年度「過労死等の労災補償状況」>

厚生労働省は、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレス
などが原因で発病した精神障害に関して、2002年から労災の請求件数や支給決定件数などを
年1回取りまとめています。ここでは2016年度の集計結果の内容をまとめたものを紹介します。

<脳・心臓疾患に関する労災補償状況>

請求件数は825件で、前年(2015年)より30件増加しました。
支給決定件数は260件で前年比9件増、うち死亡件数も同11件増の107件でした。

業種別にみてみると、請求件数・支給決定件数ともに「運送業、郵便業」が
212件と最も多く、次いで「卸売業、小売業」106件、「製造業」101件と続きます。

年齢別では、「50~59歳」が請求件数266件、支給決定件数99件とともに一番多く
「40~49歳」が請求件数239件、支給決定件数90件と、ともに2番目に多くなっています。

時間外労働時間別の支給決定件数は、「80時間以上~100時間未満」が106件で最多
「100時間以上」の合計件数は128件ありました。

<精神障害に関する労災補償状況>

精神障害の請求件数は、前年(2015年)から71件増えて1,586件と過去最多となりました。
そのうち未遂を含む自殺件数は前年から1件減の198件でした。
支給決定件数は498件で前年から26件増加し、うち未遂を含む自殺の件数は
前年から9件減の84件となっています。

業種別で見ると、請求件数は「医療、福祉」302件、「製造業」279件、「卸売業、小売業」220件の順に多く
支給決定件数は「製造業」91件、「医療、福祉」80件、「卸売業、小売業」57件の順になっています。

年齢別では、「40~49歳」の請求件数が542件、支給決定件数が144件とともに最も多く
次いで「30~39歳」の請求件数が408件、支給決定件数136件という順に多くなっています。

そして、出来事別の支給決定件数は「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、股は暴行を受けた」が74件
「仕事内容、仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」が63件となっています。

<裁量労働制対象者にかかる支給決定件数>

過去6年間で、「裁量労働制対象者」にかかる脳・心臓疾患の支給決定件数は22件で
うち専門業務型裁量労働制対象者にかかる支給決定が21件、企画業務型裁量労働制対象者に
かかる支給決定が1件ありました。

企業側は、事業場の事故に限らず、労働時間・働き方等の管理に配慮が必要です。

日々の休養時間を確保するための「勤務間インターバル制度」については、こちらをご参照ください。