保健師のお役立ち情報

長期治療が必要な「脳卒中」「肝疾患」

note
ここでは、増加傾向にある長期的な治療が必要な「脳卒中」「肝疾患」の従業員に
会社はどう対応するかについての参考情報をご紹介します。

<ガイドラインの参考資料>

厚生労働省は2016年2月に公表された「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」の
参考資料として、「肝疾患に関する留意事項」を追記しました。

このガイドラインでは、疾病を抱える方々の治療と職業生活の両立を支援する企業に向けて
適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行い、治療と職業生活が両立できるようにするための
取組みなどがまとめられています。

当初、ガイドラインの中には参考資料として「がん」に関する留意事項がありましたが
2017年3月1日に「脳卒中」と「肝疾患」に関する基礎情報と、各疾病について
特に留意すべき事項が追記されています。

<脳卒中に罹患した労働者の両立支援にあたっての留意事項>

ガイドラインでは、脳卒中等の脳血管疾患に罹患した労働者に対しての留意事項として
次の3点を挙げています。

(1)再発等予防・治療のための配慮
(2)障がい特性に応じた配慮
(3)復帰後の職場適応とメンタルヘルス

(1)について、会社は労働者から再発予防のために継続した服薬や敵的な通院等の
申し出があった場合には、必要に応じて配慮することが望ましいとしています。
また、痛みやしびれなどの後遺症が残る場合があり、就業上の措置を要する場合が
あることに留意が必要としています。

(2)については、会社は産業医等と連携するなどして、障がいの程度や内容に応じて
作業転換等の就業上の措置を行うことが求められます。

(3)については、脳卒中を発症し、手足の麻痺や言語障害といった後遺症に悩む
労働者の中には、職場復帰後に発症前の自身とのギャップに悩み、メンタル不調に
陥る場合もあるため、注意が必要としています。

<肝疾患の両立支援にあたっての留意事項>

ガイドラインでは、肝疾患の労働者に対する留意事項として、下記2点を挙げています。

(1)肝疾患の特徴を踏まえた対応
(2)肝疾患に対する不正確な理解・知識に伴う問題への対応

(1)では、労働者から通院等への配慮の申し出があれば、事業者は海外出張や
不規則な勤務を避けるなど、必要な配慮を検討し対応することが望ましいとしています。
また、肝硬変の症状があり病状が進行している場合、記憶力の低下や瞬時の判断が遅れる
などの症状が出ることもあるため、身体的な負荷は小さくとも車の運転など危険を伴う
作業は控える等の措置が必要なこともあります。そのため、個別に確認が必要としています。


厚生労働省は、今後ガイドラインの普及や企業に対する各種支援によって
疾病を抱える方々が治療と職業生活が両立できるような環境整備に取り組んでいくとしています。