不妊治療を受けながら働く人が増える中、そのような従業員に対して会社にできることは何でしょうか。
<不妊治療を受ける夫婦が増加>
日本における平均初婚年齢は年々上がっていて、2015年においては男性31.1歳、女性29.4歳で
1950年の男性25.9歳、女性23.0歳と比べると、5~6歳ほど上がっています。
また、出産時の女性の年齢についても上昇していて、2015年における第一子出産時の
平均年齢は30.7歳となっています。
近年、不妊治療を受ける夫婦が増え、働きながら不妊治療を受ける従業員も増加傾向にありますが
仕事と治療の両立に悩み、やむを得ず退職するケースも多いようです。
厚生労働省は、職場内における不妊治療への理解を深めるために、不妊治療の内容や
職場での配慮ポイント、仕事と治療の両立に役立つ制度などを紹介しています。
<不妊の原因がわかったら>
不妊の原因は様々で、女性だけでなく男性に原因がある場合もあります。
しかし治療にともなう検査や投薬などにより、特に女性の体には大きな負担がかかります。
不妊の原因がわかった場合、原因に応じて治療や手術を行いますが
その結果妊娠しなかった場合は、体外受精や顕微鏡受精へと進みます。
不妊治療は、妊娠・出産まで、あるいは治療をやめる決断ををするまで続きます。
投薬、ホルモン値などのチェック、採卵、胚移植など頻繁な通院が必要となりますが
排卵周期に合わせた通院が求められるため、前もって治療の予定を立てることは困難です。
また、治療の一部には連日の注射や痛みを伴う採卵など、身体的・精神的に大きな負担を伴います。
<職場における取組みについて>
従業員自身から相談や報告があった場合でも、本人の意思に反して職場全体に知れ渡って
しまうことなどが起こらないよう、プライバシーの保護に配慮する必要があります。
また、職場での従業員の意に反する性的な言動(性的な事実関係を尋ねる、性的な冗談やからかい)は
セクシュアルハラスメントになる可能性がありますので、注意が必要です。
なお、不妊治療は頻繁に通院する必要があるものの、1回の治療にそれほど時間がかかるわけではありません。
そのため、「通院に必要な時間だけ休暇を取ることができるよう、年次有給休暇の時間単位の取得」
「出退勤時刻の調整ができるよう、治療目的で利用できるフレックスタイム制の導入」など
柔軟な働き方を可能とする取組みのほか、不妊治療のための休暇(休職)制度を設けたり
治療費の補助や融資を行ったりなど、独自の取り組みを行う企業もあります。
厚生労働省のリーフレットには、その他の取組み例や就業規則例が掲載されています。