予防医療の時代の波に遅れないために
いよいよ
「予防医療」の時代が本格到来する「入り口」がほんのすぐそこまで来たようです。
政府による予防医療の推進への取り組みがまた具体的なものとなりました。
予防医療に取り組まない自治体は交付金削減
厚生労働省は2020年度から
「予防医療」への取り組みが不十分な自治体への財政支援(交付金)を減額する制度を導入することになりました。自治体は事実上の罰則付きで、予防医療に更に本格的に取り組まなくてはならないことになったのです。
自治体に突き付けられた課題
「罰則」は具体的にどのようなものなのでしょう?
「保険者努力支援制度」と呼ばれる、予防や健康づくりをはじめとする医療費適正化等に取り組む自治体に対して財政支援(交付金支給)を行う制度があります。
それぞれの自治体は下記のような予防医療、健康づくりに関する項目に対して取り組みを行い、その達成状況によって支給額が審査される仕組みです。
今回の「罰則」はその項目の一部で、過去の実施実績よりも下がってしまったり、全国平均より低くなった場合に交付金が減額されてしまうことになりました。
指標例:市町村分「保険者共通の指標」より(取り組む必要がある項目)
①特定健診・特定保健指導の実施率、メタボリックシンドローム該当 者及び予備群の減少率 ・特定健診受診率・特定保健指導受診率 ・メタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少率
②特定健診・特定保健指導に加えて他の健診の実施や健診結果等に基づく 受診勧奨等の取り組みの実施状況 ・がん検診受診率 ・歯科疾患(病)検診実施状況
③糖尿病等の重症化予防の取り組みの実施状況 ・重症化予防の取り組みの実施状況
④広く加入者に対して行う予防・健康づくりの取り組みの実施状況 ・個人へのインセンティブの提供の実施 ・個人への分かりやすい情報提供の実施
⑤加入者の適正受診・適正服薬を促す取り組みの実施状況 ・重複服薬者に対する取り組み
⑥後発医薬品の使用促進に関する取り組みの実施状況 ・後発医薬品の促進の取り組み ・後発医薬品の使用割合 |
特定健診や保健指導の実施率向上や後発医薬品等の利用促進を行い、
医療費の適正化が求められています。
「予防医療」への取り組みが「死活問題」となったのです。
このように多岐にわたる課題に対して、取り組み結果を出す必要が迫られてきました。
いつの日か自治体から民間へ「予防医療」への取り組みが義務付けられる!?罰則化?
企業に「予防医療」への取り組みが本格的に求められる時代はまだまだ先のことだとのんびりしていてはいけません。
かつて政府主導で先行して行われ、大企業そして中小企業においても実施が義務付けられるようになった「働き方改革」の一連の流れのように、「予防医療」への取り組みも国策として義務化されることは時間の問題です。
どのような取り組みが有効か、課題として取り組まれているか、今のうちから情報収集に努めたいですね。
(参考資料)
・厚生労働省:2020年度保険者努力支援制度(市町村分)について
https://www.kokuho.or.jp/whlw/notice/lib/kokuhoka_2114_30-1.pdf・厚生労働省:2020年度保険者努力支援制度(都道府県分)について
https://www.kokuho.or.jp/whlw/notice/lib/kokuhoka_2114_31-1.pdf
・厚生労働省:国民健康保険改革の進捗等について
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyou_kaikaku/dai9/shiryou2.pdf
・日本経済新聞 2019.11.18「予防医療 不足なら「罰則」自治体交付金を減額」